型破りの伝承
- Kazeyoshi Uno
- 2021年3月14日
- 読了時間: 4分
更新日:2021年12月31日
「昔はよかったな」的な感覚は好きではないのです。
もちろん、古いものから学ぶことも尽きないし、個人的な思い入れもあったりして、懐かしいだけじゃ済まされない大切なものは沢山ある。
「探求」には新古問わずということでしょうか。
たとえば近頃のソロの音楽tアーティスト(SSW系)でも
刺激を受ける方々多数。
崎山蒼志、Vaundy、藤井風、長谷川白紙、秋山黄色、折坂悠太 etc...
中でも、藤井風と折坂悠太が気になる存在で、へびーろーてーしょん。
自分の好みからは、上記のどのアーティストも才能豊かで輝きと吸引力を感じるのだけれど、この二人は特に只ならぬものを感じる。
まず折坂悠太。
彼の楽曲はどれも、商業的に言う「邦楽」「J-pop」などという括りで語るのはナンセンスだと思える程に純粋にパーソナルな音楽で、実に個性的で感動的。
どのオリジナルも一本の演劇を連想するような素晴らしい作品なのだけれど、
彼のミュージシャンとしての懐の深さをまじまじと感じたのは、
ラジオで流れてきた彼の歌う「安里屋ユンタ」を聞いた時。
数々の歌い手がカバーしてきたこの人気のある沖縄民謡を、ありきたりのカバーではなく、
彼独自の空気感で包み込みながら、いつの間にかその渦にすっかり引き込まれてしまった。
とにかく彼の、美しく血の通った表現力には感服。
そして藤井風。
デビュー直後の頃だか、彼のYouTube動画が話題になっていて僕も見始めたらキリが無くって。そこ(チャンネル)には彼の学生時代からのアーカイブが沢山投稿されていて、クラシックを演奏するものから、弾き語りのカバーをやっているものまで内容は多岐に渡り、中にはおどけてみせたり、オチがついていたり、視聴者を楽しませる工夫も仕掛けてあって、見ていて楽しかった。チャンネル登録者も相当な数だったが、もともとこのYouTubeがきっかけでデビューへつながったらしい。
その彼の下地を踏まえて、
デビュー曲「何なんw」、~セカンドシングルの「もうええわ」、である。
R&B調のお洒落でノリのいい、キャッチーで恰好よい楽曲。
しかし歌詞の中には時々古めかしい言葉やおっさん風の言葉が散りばめられていて、そのギャップが面白い!と思っていたのだけれど、
知らなかった!
岡山弁なのだ。
「何なんw」の冒頭はこんな風に始まる。
あんたのその歯に はさがったあおさ粉に
ふれるべきか否かで少し悩んでる
口にしない方がいい真実もあるから
これが、お洒落なジャズコードに乗ってペンタトニックスケールで歌われるのだ、
低めでセクシーなとっても心地よい声で。
そしてサビに行く直前に「あんた」は
肥溜めにダイブ!
こんな歌詞アリか!?
サザン(桑田佳祐)登場級のインパクトか、それ以上だろう。
サビではキャッチーに「何なん」を岡山弁のフレーズとともに繰り返し、
先ほど紹介したAメロは出てこずに、サビ後から直ぐに展開が変わる。。。
とにかく耳が離せない。
クラシックから培ってきた音楽理論を突き抜けて、この人のユニークで自由な感性が伸び伸びと新しい風を吹かせている。
かくして僕のハートは鷲掴みにされてしまった。
続く、「もうええわ」でも
サビ(=タイトル)がすでに岡山弁であることに気づく。
この本気の軽いローカル感!
間違いなく、新しい時代のトレンドになるだろう。
紅白出場とかで全国区・全世代へと認知が広まれば一気だと思う。
そして、
2020年5月、コロナ禍においてリリースされた1stアルバム。
タイトルがカッコよすぎ
「HELP EVER HURT NEVER」
~決して傷つけないで助けて~ とでも訳すのか?
聴いてみたら最後、
その才能にメロメロです。
・声がいい(セクシー)
・歌唱センスがいい(フレーズ、フェイク、言葉のリズム感、力の抜き差しなど)
・歌詞が斬新(方言の多用)
・お洒落なコード展開(ジャズ的テンションと進行)
もちろん、たとえば他にも、世に知られていないだけで、
素晴らしいミュージシャンは、あちこちにいる。
型破りなアーティストたち。
愛すべき、尊敬すべき、アーティストたち。
その出会いに
しあわせを感じ、
刺激を受け、
生きる喜びとなるのだ。
そして、常に、
そんな作品を産み落とせたなら.....
と、想うが、
平々凡々に埋没する身では
そう易々とはたどり着けない、
果てしない旅だな。
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